その、悠久のオレンジは・・・

鉄道車両が持つ魅力その特異性は、機械としての魅力の他に、地域と時代としての一風景の魅力が、他の物より色濃く出る点である。

■「asahi.com(朝日新聞社):ありがとう、さようなら、オレンジ電車 201系姿消す - 鉄道 - トラベル

この電車は紛れもなく、自分が過ごしてきた時間の一部を構成している。

幼い頃、当時の四面四角の電車が国電と覚えていた中、新しい形の電車と言えば、まずこの電車を思い浮べた。
この電車が走る中央線を挟んで親族が居る自分は、頻繁に出はないが昔からこの電車を利用していた。
墓参りに行く時もこの電車を使って居た。
そのため、この電車の車内は物心つく前から知らない場所ではなかった。
そして、遠方に出る際は、地元駅から新宿駅や東京駅まで、まずこの電車で旅立った。
線路は続くよと歌にあるが、このオレンジの電車は遥か北へ、遥か西へ旅立つ為の最初の列車となる、始まりを告げる列車だった。
そして旅立て無い時には、遠く何処かへの思いを乗せるのがこの列車だった。

移動する際の一部として一体化していた、日常的過ぎて、ありふれていたのかこのオレンジの電車。
だから、どこか意識しないような、空気のように触れていたままだった。

一層の愛着を持つようになったのは丁度十年前。
地元で日が暮れるまで仕事して、そこから知人に会いに行く時に利用したのが、このオレンジの電車だった。
限られた時間を一秒でも大事にしい時、一秒でも早く目的地へ向ったのがこのオレンジの電車でした。
夕暮れで日が沈む中、希望を抱いて自分の心が明るくなっていく時間を運んだのがこの電車で、もし眠ってしまっても、目的地まで送り届けてくれたのがこの電車でした。
希望を運ぶ自分が安心できる車内は、次第にかけがえの無い空間になっていった。

その十年前以降、自分の様々な移動経路は、このオレンジの電車を中心に構築されるようになった。
新たな時間は、このオレンジの電車と共に作られるようになりました。

そして今年、このオレンジの電車が無くなるカウントダウンが始まりました。
昔はありふれた空気のように意識しなかった存在から、毎朝この車両がどう走るのか?いつ乗るのかと、生活の軸として、この201系が組み込まれるようになりました。
このオレンジの201系で新たなる友人が増えました。
そして、この電車を捕まえれば、タイミングを合わせて乗車している友人と待ち合わせ無しで合流できる生活となり、それは奇妙ながら張り合いがある日常でした。

そして最終日。
その知り合った友人たちと協力して、特急でさよなら記念列車を追跡の旅行をしました。
このオレンジの201系と今まで付き合ってきた時間と、最後の半年に生まれてきた時間は、何事にも変えられない宝です。
だからあらゆる感謝を込めて言いたい。

ありがとうオレンジの中央線201系。