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■「北総線、運賃5%引き下げへ…沿線自治体や鉄道会社とで調整

【概要】北総線の運賃について、県は5%引き下げる方向で沿線自治体や鉄道会社との調整に入った。
 同線を運行する北総鉄道(本社・鎌ケ谷市)が累積赤字を抱えているため、値下げの原資には、沿線6市2村からの補助と、成田新高速鉄道北総線の線路を利用する京成電鉄の線路使用料などをあてる。
 負担割合などを巡り地元の反発は強いが、県は国土交通省への運賃申請の期限となる7月中旬までに合意を求めていく考えだ。
 北総線の運賃は現在、京成上野―印旛日本医大間で1070円。
 成田新高速開業で印旛日本医大から成田空港まで延伸される。
 沿線の住民らは、京成本線京成上野―成田空港間が千円であることから、ルートが違っても出発地と目的地が同じなら同一運賃が原則だとして、北総線の運賃の引き下げを求めている。
 一方、県も、千葉ニュータウンの開発促進につながるとして北総鉄道に運賃の値下げを促してきた。
値下げ率については5%、10%、15%の3案を検討し、値下げに伴って運賃収入が約7億〜約19億円(07年度ベース)減ることから、地元自治体と課長級、副市長級の会議を重ね、負担割合などを協議してきた。
 同ニュータウンの開発を手がける県と都市再生機構(UR)は当初、値下げ率15%を前提に、北総鉄道に対し、それぞれ53億円ずつ行っている無利子融資を全額出資に切り替える案を打診。
 336億円の累積赤字(07年度)を抱える同社にとっては、借金が減り経営の自由度が増す有力な支援策と見られた。
 だが京成グループが、北総鉄道への出資比率(51%)が変わることに難色を示し、出資額や値下げ幅を減らす方向で調整していた。
 そこで県は4月下旬、平均値下げ率を5%以上とし、全線で通学定期の割引率を引き上げるという案を示した。
減収分については、京成からの線路使用料のほか、県とURが融資額のうち15億円分ずつ出資に切り替えて支援、沿線の6市2村(市川、松戸、鎌ケ谷、船橋、白井、印西、本埜、印旛)は3億円を5年間補助する。
負担割合は5年後に見直すものだ。
 ただ、この案に対して難色を示す自治体もある。運賃の高い東葉高速鉄道なども抱える船橋市は「1事業者のみを財政支援するのは公平性を欠く。京成や県の負担内容も明示されていない」などと反発する。
 また北総鉄道側も、「債務超過の会社であり、線路使用料を値下げの原資にあてることはできない」としている。
 それに対し、県は、国や地元自治体とともに成田新高速の事業費の半分程度を負担していることから、その恩恵を受ける北総、京成の両鉄道に強く譲歩を迫る考えだ。
 国交省も交渉の行方に関心を示し、仲裁案を含めた対応を検討している模様だ。
(代表ソースとして、見出しリンク先にasahi.com  へのリンク。)

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